一般的に金属製のうつわはすぐ錆びて使いにくそう、使い方がわからないと敬遠されがちですが
錫器は錆びに強く日常使いしやすいうつわです。
特に特別なお手入れは必要ありません。いくつかご注意していただくことはありますが
ご使用後は他の食器類と同様、ご家庭用の中性洗剤と柔らかいスポンジ等で洗ってよくすすぎ
水気を拭き取っていただければ大丈夫です。
いくつかのご注意していただくこととは
・火の側に置かない(融点が低いため溶ける恐れがある為)
・冷凍庫などの極低温化に長時間置かない(錫が変質してしまう恐れがある為)
・酸性の強いものに長時間さらさない(変色の恐れがある為)
・直火不可、電子レンジ不可、IH不可
・金属たわし等硬いもので擦らない
といったことです。
また落としても割れないということも錫のメリットとしても挙げられます。
もちろん金属の中では柔らかい方なので、落下したり角にぶつけたりと強い衝撃が加われば
へこみはしますが、新品同様と行かないまでも使用に差し支えのない程度には
修理ができ、また使うことができます。
戦時中の金属回収令や高度経済成長期からの様々な工業製品の台頭等によって
家庭で錫のうつわを目にする機会は少なくなっているのが現状ですが
古くは酒器、茶器として親しまれていました。
錫の盃で飲むとお酒が美味しくなる、というのは日本酒好きの方々からは
よく耳にするお話です。
また水の浄化作用もあることから錫の花器に花を活けると花持ちが良くなります。
錫は体に悪いのでは?という認識をされている方もいらっしゃいますが
それは昔の錫製品に含まれている鉛によるものでしょう。
過去には湯流れを良くするため(成形しやすくするため)に鉛が含有されていました。
現在は食品衛生法により直接口に触れる食器には鉛を含有することが禁止されているため
現在日本で製作されている錫器に鉛は含有してはいけません。
ただし茶器などの直接口に触れない物に関しては基準内の鉛の使用が認められていますが
当工房ではロウ材を含め鉛入りの地金は使用しておりませんので
安心してお使い頂けます。